X線CT検査
CT検査とは、X線を人体のまわりから照射してコンピュータ処理することにより、輪切りのような画像(断層画像)を作ります。
当院のCT装置は、シーメンス・ジャパン社の64列MDCT「SOMATOM Definition AS+」を使用しています。
この装置は、他社の64列MDCTとは異なり、128列分のデータ収集を行うシステムです。軽量のStraton管球を用いることにより、より高速なスキャン速度が可能となっています。
また画像を細かく撮影することで血管や骨を立体的に見せる3D画像や様々な方向からの画像も作ることができます。また、心臓などの動きのある臓器に対しても従来よりも鮮明な画像を描出することが出来るようになりました。
検査時間は検査内容により変わってきますが,大体の検査が5分~15分ほどで終わります。
造影剤について
造影剤:検査内容によっては診断能の向上のために、造影剤を使用することがあります。CTの造影剤はヨード造影剤で、主に腕や手の静脈から注入します。画像上良好なコントラストを得るために通常100ml程度を1~2分で注入します。注入時には造影剤の影響により身体が熱くなりますが、熱感は通常数分以内に消失します。その他稀に、かゆみ、発疹、吐き気などを生じることがあります。
- 造影剤を使う利点は何でしょう?
注射された造影剤は、血管を介して全身の臓器に分布します。臓器や血管を鮮明に映しだしたり、病変が存在するのか、病変が存在するならばどれぐらい広がっているか、病変がどのような種類のものかなどを診断するための重要な情報量を増やしてくれます。 - どのような人にも造影検査はできるのでしょうか?
アレルギー体質の方は副作用を生じる可能性が約3倍多いといわれ、なかでも喘息の方は約10倍多いといわれています。また、腎臓の悪い方に使うと腎機能をさらに悪化させることがあります。次に該当する方は、主治医および検査室の医師にお知らせください。- 以前造影剤で具合が悪くなったことがある
- 本人あるいは血縁者に喘息やアレルギーがある
- 腎臓の病気がある
- 造影剤にはどのような危険性があるのでしょうか?
最近では、副作用の少ない造影剤が開発され使用されています。しかし、危険性を完全になくすことはできません。軽微な副作用を含めて、約3%の患者さんに何らかの副作用が生じます。造影剤の副作用には、検査中や直後に生じる即時性のものと、検査終了数時間から数日後に起きる遅発性のものがあります。- 即時性副作用
ほとんどは気分が悪くなったり、吐いたり、じんま疹が出たり、かゆくなったりといった軽いものです。しかし、まれに冷や汗が出たり、胸が苦しくなったりすることがあります。また、1万人に4人ぐらいの割合で、ショックなどの重篤な副作用を生じることがあります。きわめてまれですが、死にいたる報告もあります。 - 遅発性副作用
まれに、検査終了数時間から10日ぐらいの間に体がだるくなったり、頭痛がしたり、じんま疹が出ることがあります。
- 即時性副作用
また、自動注入器という機械を使って急速に造影剤をからだの中に入れるため、血管の外に漏れてしまうことが通常の点滴よりも起こりやすいです。これにより、痛み、漏れた部分での腫れ、水ぶくれなどを起こすことがあります。また、場合によっては手術が必要となります。
検査中は常に患者さんの状態を観察しており、症状が出現したときにはすぐに適切な処置がとれるようにしております。また造影剤は腎臓から尿中に排泄されるため、検査後は水分を多めにとるようにしてください。
検査に際しての注意点
検査に際しての注意点は、造影検査をする場合には、基本的に検査の2時間前までに食事を済ませておきます。水分の制限はありません。(※ただし、牛乳や固形物を含むものは除きます。)これは造影剤副作用による嘔吐が生じたときに気道への誤嚥を防ぐためです。撮影部位に金属製のものがある場合には、あらかじめ申し出てください(例:ヘアピン、義歯、補聴器、金属製のボタン、エレキバン) 。妊娠の可能性のある方は検査予約時に主治医にご相談下さい。