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高松市立みんなの病院

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経腸療法(LCIG治療)について

当院では進行期パーキンソン病の方を対象として経腸療法(LCIG;levodopa-carbidopa intestinal gel治療)を行っています(商品名:デュオドーパ)。
パーキンソン病が進行してくると動き難い(オフ)時間が出現してきたり、動けるけれども不随意運動(ジスキネジア)が出現したりします。このように日々の活動に支障が生じた場合に経口薬や貼付薬だけではなく、機械(デバイス)の力を借りてパーキンソン病の症状を改善させる治療をDAT(device aided therapy)といいます。

DATには、脳深部刺激療法(DBS;deep brain stimulation)と経腸療法と持続皮下注療法があります。このうち、当院では経腸療法を行っています。DBSはドーパミン神経を含む神経回路を電気刺激で調節することにより効果を現し、経腸療法はL-ドパを直接十二指腸内に日中の間、持続投与することにより効果を現します。持続皮下注療法では皮下に24時間持続投与します。
したがって、DBSと経腸療法(あるいは持続皮下注療法)は本質的に異なる治療法ですが、どちらも進行期パーキンソン病の方を対象として、オフの時間を解消して、なおかつジスキネジアを起こり難くする治療法であるといえます。
その方個人にとって、どの治療法が最も望ましいか、担当の医師と面談のうえ、よく話し合って決定します。パーキンソン病がある程度進行した方で症状の日内変動が大きい方が良い適応です。経腸療法はパーキンソン病治療のゴールドスタンダードであるL-ドパを持続的に経腸投与するものであるため、その薬物動態上の難点である消化管での吸収が不安定である点、血中半減期が短い点を克服できるところに特徴があります。

かなり有効であったとされる具体例を挙げますと、食後などにオフが強く出現する方、下肢などのジスキネジアが出現する方、予測不能のオフが不意に出現する方などです。お仕事などの都合で時間を決めて服薬することが困難である方にも良いでしょう。
難点としては携帯用のポンプを常に持ち運ぶことが少し重く感じる方がいらっしゃいます(約500g)。場合によっては初期に皮膚症状やチューブのトラブルなどが生じることがありますが、対処可能です。
持続皮下注療法と比較すると就寝中などには機械を取り外すことができること、針を刺す必要がないこと、皮膚症状が少ないことが利点です。

実際に経腸療法を開始する場合は、お試しとして経鼻のチューブにより十二指腸内にポンプで薬剤を投与して効果を確認した後に、内視鏡的に胃ろう造設を行い、十二指腸内に薬剤投与を開始します。

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