PDD(光線力学診断)補助下TUR-BT
光力学診断(PDD)補助下経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)について
筋層非浸潤膀胱がん
膀胱癌の約90%は膀胱の粘膜から発生し、癌が粘膜にとどまったままの状態を、筋層非浸潤性膀胱がんといいます。この筋層非浸潤性膀胱がんには、内腔に向かって腫瘍が突出する乳頭状のがんや、粘膜内を平坦に広がる上皮内癌があります。筋層非浸潤性膀胱がんはTUR-BTでの治癒が期待できる状態で、その生命予後は良好ですが、再発率が高いことが問題になっています。この高い再発率は、従来のTUR-BTでは観察が困難な小さいがんや平坦ながんが存在していることが原因と考えられています。
PDDとは
2017年に5アミノレブリン酸(5-ALA)を用いた光線力学診断(PDD)が保険適用となりました。5-ALAは天然アミノ酸の一種で、ヘムという物質のもとになります。しかしながら、がん細胞では正常にヘムを作ることができず、5-ALAを投与すると、その一歩手前の前駆物質が増加します。この前駆物質には青い光を当てると赤い光を跳ね返す、というユニークな特徴があり、がん細胞だけを赤く光らせることができます。このような性質を利用した新しい診断法がPDDです。
がんの光力学診断(PDD)のイメージ
術中画像
臨床試験の結果からも、5-ALAを用いた光力学診断とTURBTを組み合わせることで膀胱がんの検出率が上がり、手術の質が向上する可能性が示唆されています。