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高松市立みんなの病院

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診療情報

当院「脳神経外科・血管内治療科」について

2023年4月より常勤の脳神経外科医が5名に増え、診療体制がより強化されました。特に脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や頭部外傷は時間との勝負です。コンパクトで小回りが利く病院設計を活かし、迅速な救急車の受け入れ、診療を複数の医師が交代制で24時間365日実施しています。屋上にはヘリポートも完備していますので、遠方への移送、受け入れもできます。
また従来から行っていた脳血管障害や脳腫瘍、外傷、水頭症、三叉神経痛、顔面痙攣、外傷などの診断、治療に加えて、脳血管内治療指導医が常勤となり、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻、頸動脈狭窄症、頭蓋内外動脈狭窄症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍などに対する血管内手術はいつでも施行可能になりました。
かつて切開による外科的手術を中心に診療活動をしていた脳神経外科領域では、時代とともに切開を必要としないカテーテル手術が年々増加しています。これらの状況を踏まえて、当科は2023年8月より「脳神経外科」から「脳神経外科・血管内治療科」に名前を変更しました。患者さんができるだけ負担が少なく、安心して病気を治してもらえる満足度の高い治療を目指しています。
また2021年4月からはてんかん専門医によるてんかん外来を開設し、県内からの難治症例の診療拠点病院となっています。この病気でお困りの方は一度ご相談ください。2024年4月からは第1、第3木曜日午後の月2回に増えました。

【専門外来のお知らせ】
てんかん専門外来/第1と第3木曜日午後(徳島大 藤原医師)NEW!!
てんかん患者さんのオンライン診療(遠隔連携診療)も開設しています。
頭痛漢方外来/毎週金曜日午後(四方医師) 
頭痛でお悩みの方を、漢方薬を中心としたお薬で治療する外来です。
脳血管内治療外来/毎週木曜日午前(松原診療部長)
動脈瘤、血管奇形、頸動脈狭窄症、脳動脈狭窄症、慢性硬膜下血腫難治例、硬膜動静脈瘻の患者さんを中心とした外来を開始しました。治療を受けるかどうか迷っている方、術後のフォローアップ、一般外来の方も受診できます。

 

学会認定施設

日本脳神経外科学会専門研修プログラム連携施設
日本脳卒中学会認定一次脳卒中センターコアNEW!!
日本脳神経血管内治療学会研修施設
日本脳神経外傷学会認定研修施設NEW!!

外来担当表
令和6年度最新版
診 療 科
脳神経外科・血管内治療科 午前 庄野 健児 手術・検査 佐藤 悠 松原 俊二
・血管内治療外来
・一般外来
松原 俊二
白川 典仁 白川 典仁 庄野 健児 四方 英二
午後 要問合せ 手術・検査 要問合せ 第1・3週午後2時~5時
てんかん専門外来
徳島大学医師 藤原 敏孝
午後1時30分~4時
頭痛漢方外来
四方 英二

【受付時間は次のとおりです】
新患の方:午前8時~11時(火曜を除く)、 午後1時~4時※お問い合わせください
再来の方:午前8時~11時30分(火曜を除く)

 
脳神経外科はどんな症状があれば受診したらよいの?

頭痛、けいれん、手足のふるえ、ボーっとする、手足に力が入らない、首が傾いて治らない、目の見え方がおかしい、耳の聞こえ方がおかしい、手足がつっぱり思うように動かない などでお困りの方は受診してください。

それ以外の気になる症状での受診も受け付けています。 神経内科、整形外科、耳鼻咽喉科、眼科などに受診される症状とよく似ている場合があります。それら診療科で診断がつきにくい場合は脳神経外科受診をご検討ください。
また2023年9月からは頭痛漢方外来を開設いたしました。
担当の四方医師からのメッセージ「頭痛に悩む患者さんへ」はこちらから。

 
主な脳疾患
脳卒中

脳卒中・神経センターを開設し、脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血患者に迅速に対応しています。脳神経内科医2名(浦井医師、向井医師)と連携し、計7名の医師で毎週カンファレンスを開いています。集中治療室には脳卒中専用ベッドを設置し、急性期のきめの細かい観察、治療を提供し、早期からのリハビリテーションも積極的に行うなど、チーム医療体制が整っています。また脳卒中専用ホットラインを設置し、治療開始までの時間を短縮しています。2024年からは「日本脳卒中学会認定一次脳卒中センターコア」に認定されました。

脳梗塞は、内科的治療を基本としますが、発症から4.5時間以内の場合はtPA静注で、24時間以内の場合、血管内治療(血栓回収術、血管拡張術)で閉塞血管を再開通させます。頸動脈が高度に細い場合には、ステントで拡張させます。術後は抗血栓薬やリハビリを早期に開始します。脳出血に対しては、まずは血圧を下げ、抗脳浮腫薬、リハビリを行いますが、血腫が大きく意識障害が強い場合には、開頭血腫除去術もしくは定位血腫ドレナージ術、内視鏡下血腫除去術、脳室ドレナージ術などを行います。くも膜下出血では、動脈瘤コイル塞栓術や開頭術で出血点をおさえ、術後は新薬クラゾセンタンで血管攣縮の発生を予防します。未破裂脳動脈瘤で形や大きさによっては、開頭術かコイル塞栓術で将来の破裂を予防します。最近、5mmを超えた瘤では、パイプラインを使った血管内治療が保険適応になっていますが、現在この器具で治療可能な施設は県内では当院を含め数ヵ所だけです。また脳の太い血管がつまったり、細くなったりしている人や、もやもや病の患者さんでは、脳血流を補うために、頭皮の血管を脳の血管につなぐバイパス手術を行うことがあります。

直近の1年間(2023.1-12)に当院で急性期治療をおこなった脳卒中の患者さんは214名で、うちtPA静注療法は12名、血栓回収手術は21名でした。

外傷

転倒、交通事故、転落事故、傷害などさまざまな機転により、頭を打撲することがあります。人間の最も大切な臓器である脳は、硬い骨に囲まれ守られてはいますが、打ちどころが悪いと、頭蓋骨骨折、脳出血や脳挫傷などをきたし、治療に急を要することがあります。
外傷性くも膜下出血では自然に治癒が期待できますが、急性硬膜下血腫や急性硬膜外血腫は命にかかわる重篤な疾患ですので、意識障害や運動麻痺がある場合には、緊急で開頭手術を行い救命します。
当院では、医師、放射線技師が24時間常駐しており、レントゲン検査、CT・MRI検査もすぐに撮影できます。また日本脳神経外傷学会認定専門医も常駐しており、2024年10月には同学会の認定研修施設に登録されました。

慢性硬膜下血腫

高齢者では軽く頭を打ったあとでも、2−3ヶ月かけてゆっくりと頭の中に血がたまることがあります。特に血液をさらさらにする薬(抗血栓薬)を飲んでいる方や肝臓の働きが悪い方は発症しやすいので、さらに注意が必要になります。血が多く溜まると手足がうまく動かなくなったり、頭痛がしますので、その場合には、頭に2cmくらいの小さな穴をあけて、血を抜き出す手術を行います(穿頭ドレナージ術)。多くの方はこれでよくなりますが、もし再発をしてきた場合には栄養血管の塞栓術を追加することでなおりやすくなります。

脳腫瘍

髄膜腫、神経膠腫、神経鞘腫、下垂体腺腫、転移性脳腫瘍、悪性リンパ腫、胚細胞腫、海綿状血管腫など、脳腫瘍には様々な種類が知られていますが、これらをCT、MRI、血管撮影、RI検査、髄液検査、血液検査などを駆使して診断を行います。
摘出術が必要な場合には、最新型術中ナビゲーションシステム(ステルス8)を用いた精度の高い顕微鏡下手術を実施しています。また当院の電子カルテ画像システムにはVincentという画像再構成するソフトウエアーが装備されており、どこのパソコン端末でも3D画像を作成し閲覧することができます。これを用いて手術前のシミュレーションが容易に可能となっています。また2024年3月には外視鏡機能のついた最新式手術顕微鏡(キネボ900、カールツァイス社)に更新されました。下垂体腫瘍に対しては患者さんに負担の少ない経鼻内視鏡下腫瘍摘出術を行っています。

小児

頭部への打撲は、たとえ軽くてもご家族は不安があります。必要に応じて当院へご連絡ください。またてんかん、奇形疾患、水頭症、脳腫瘍、なども診療しております。当院は善通寺市の四国こどもとおとなの医療センターと連携しており、より専門性の高い治療が必要な場合には紹介も可能です。

水頭症

正常圧水頭症は、脳の中に水(髄液)が過剰にたまる病気で、物忘れ、歩行がしにくい、尿失禁が3大兆候です。くも膜下出血のあとで発症することもありますが、高齢者の認知症患者さんの中に、しばしばこの病気が隠れていることもあります。これは正常圧水頭症と呼ばれ、MRI検査や髄液排除試験(背中に細い針をさし、髄液を30cc程度採取)などで診断を行います。治療は、腰とお腹、もしくは頭とお腹を専用のチューブで繋ぐ手術により、髄液を持続的におなかに流すことで、症状が改善します。手術の後でも設定圧の微調節が体外からできますので、調子をみながら最適の状態を維持できます。

機能神経外科

パーキンソン病や本態性振戦、ジストニアなどでは薬物治療が基本ですが、脳深部刺激術が有効なことがあります。脳卒中後などに手足がつっぱる痙縮は、内服薬以外にもボツリヌス療法も効果的です。またバクロフェン髄注療法(ITB)も効果的な場合があります。慢性難治性疼痛に対して脊髄に微弱な電流を流す脊髄刺激療法(SCS)が有効なケースもあります。顔面けいれんや顔面痛(三叉神経痛)は最初は薬物治療を行いますが、効果が乏しければ、神経と血管の接触を解除する手術が必要です。

てんかん

2021年4月よりてんかん外来を開設しています。てんかんの専門医は数が少なく、脳神経外科や小児科、神経内科、精神科など様々な診療科が分担しており、専門的な治療が受けにくい現状があります。
当院では、四国で唯一のてんかん診療拠点機関である徳島大学病院より、てんかん専門医を招聘し、外来診療をしています。毎月第3木曜の午後のみでしたが、2024年4月から毎月第1・第3木曜の午後になりました。香川県内から多くの患者さんが集まっています。本疾患でお困りの方はぜひご利用ください。

オンライン診療(遠隔連携診療)
当院では香川県で初めて、徳島大学脳神経外科のてんかん専門医と連携し、てんかん患者さんのオンライン診療を始めました。第1・第3木曜日に受診できない患者さんや、できるだけ早く専門医の診察を受けたい場合や、長距離の移動が難しい方などが対象になります。
オンライン診療の流れ

手術実績
  2020年 2021年 2022年 2023年 ~2024年9月
脳腫瘍(摘出術・定位生検) 3 4 6 1 3
動脈瘤(開頭術) 6 3 3 2 2
CEA(頚動脈内膜剥離術) 3 8 3 3 1
脳内出血(開頭・定位・内視鏡) 7 4 4 4 7
外傷:開頭術 5 4 6 7 0
慢性硬膜下血腫 21 26 23 26 26
水頭症 5 1 13 10 15
血管内手術(動脈瘤、頚動脈ステント、血栓回収など) 7 17 16 49 44
その他 5 6 6 7 10
合 計 62 73 80 109 108
主な設備や検査機器
  • MRI (GE社、SYGNA pioneer, 3.0 Tesla)
  • 高画質で、撮像時間が短い、広範囲に撮像でき、開口径が広い、ベッドが広い、画像解析処理が速いなど、多くのメリットを有する高性能マシーンが、24時間稼働しています。

    脳梗塞の患者さんでは、造影剤を使う灌流画像も使わない灌流画像もどちらでも撮影でき、脳血流の過不足が一目で判定できます。小児の場合、サイレントモードで音の出ない検査もできます。

  • CT(シーメンス社、SOMATOM Definition AS、64列)
  • 頭の先から足の先まで、全身を高速でスキャンする高性能CTです。脳腫瘍や脳出血、水頭症などを見逃すことなく診断します。またCTアンギオで、脳血管や頸部血管を正確に評価し、閉塞部や狭窄部、脳動脈瘤や血管奇形などを見つけ出します。2024年12月からは、Aquilion One(320列、Canon Medical Systems)に更新が予定されています。

  • 血管撮影装置(シーメンス社、Artis zee i biplane)

2023年2月に新規購入したばかりの、最新血管撮影装置です。画質にすぐれ、細い血管まで描出できます。
ワークステーション(syngo X-workplace)をつかって、3D画像、3D ロードマップ、動脈瘤解析、血管狭窄解析、コーンビームCTなど多くの情報を収集できます。頭頸部血管領域以外にも、心臓の血管や大動脈、腹部血管、四肢血管など体中すべての動脈、静脈をくまなく調べ、正確な情報を得ることで、安全な血管内治療に導くことができます。

  • 脳波
  • スペクト(脳血流シンチ)
  • PET
  • ベリファイナウ(VerifyNow system PRUプルー、アイ・エル・ジャパン社)
  • 血液をさらさらにするお薬(抗血小板薬)の効き目が適切かどうかを判定する検査です。頭や頸の血管にステントなどを留置する予定の患者さんは、術前からアスピリン、クロピドグレル、プラスグレル、シロスタゾールなどを内服していただきます。血栓が手術中や手術後にできないようにすることが目的ですが、人によっては薬が効きにくい場合や効きすぎる場合があります。それを術前に評価し、薬の種類や量を修正することができます。5cc程度の血液で測定でき、簡便かつ繰り返し可能です。

 

地域の医療機関の皆さまへ

地域医療連携だより『脳神経外科・血管内治療科』について/2024年7月号〈第36号〉
※掲載当時の内容です


(2023年5月撮影)

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